打楽器担当と名乗っておきながら。
なぜか前回は真っ先にアンデスの話をしてしまったので、今回は打楽器の話をさせていただきます。
「木」です。
正気です。
まず編曲を行うにあたり、原作の音楽を聞き込むフェイズが当然存在します。
『天誅』の場合メドレーに用いる3曲だけでなく、それ以外の楽曲も改めて聞き直しておりました。
これは楽曲の再現に留まらず、ゲームの世界観全域を取り込みたいという欲求からだったのですが、元々、結構色んな音が鳴るんですよこのゲーム。
その中で、「木としか思えねえ」音があったのです。
カンッ。
いや、まさに、カンッ。
大工仕事の工程の狭間で鳴るような、作為のない、音響を考慮していない音。
線路脇の工場通りを歩いていれば聞くことがあるかもしれないし、もしくは山道で獣を威かすためにあえて鳴らすような、つまりは実用的な音。
これを何らかの「楽器」に託すことはできるのか? と考えますと何だか違うように思えてきまして。
もちろんクラベスや拍子木など、加工した木材同士を打ち鳴らす楽器は存在するのですが、譜面上ではそうしたものを選ばず、
「Mokuhen(木片)」
と書くに至りました。
さてそこからは「いいMokuhen」を探す旅です。
作為の無い音と言ったところで、音量、音高、扱いやすさの面での選定は要します。
机を叩いてみたり、円筒状のウッドブロックを木槌で叩いてみたり、ホームセンターの端材詰め合わせコーナーに行ってみたり。
そして結果、「ちえりあ」1階のリサイクルプラザ宮の沢で拾った冒頭写真の物体に確定しました。
何に使われていたものかは判りません。
ひとまず1回、別の木材の塗装の折に下敷きに使いました。
穴が空いていたので下敷きとしては全く役に立ちませんでした。
最後にもうひとつ裏話。
『天誅』の前のMCで「あなたは何種類の打楽器の名前がわかるでしょうか。」という文面があったかと思います。
司会原稿は私も事前に確認をしており、その際も「いや、真っ先に鳴るの木なんだよなあ」と思ってはいたのですが、直すのも面白くないなとそのままにしました。
会場で「あれ何の楽器だ?」と思われた方、すみません、木です。
(あまやん/打楽器)
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