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団員私物楽器紹介のコーナー その9

第3回定期演奏会の『銀河にねがいを』メドレー、特に『V.S.マルク』においてはかなり楽器面での遊びを入れました。

即ち、「ラチェット」「おもちゃの鈴」「トイピアノ」がそれにあたります。

この中でラチェットと鈴は、それぞれダイソーとセリアで購入しました。元手100円ですね。

打楽器奏者は、100円ショップとホームセンターを楽器屋と認識している節がございます。

 

マルクは個人的にはたいへん悪い奴だと、それはもう悪事を悪事と解ってやっている純粋な悪としての存在だと思っているのですが、同時に「幼児性」という分も持ち合わせており、それをどう表現したものかと。

そう考えました時に、玩具を鳴らせば面白いかなと考えた次第です。

 

といっても、ラチェットは普通に交響楽の中で使われる楽器ではあります。

楽器メーカーが出しているものもあり、7~8000円ほどで売っています。

機構としては単純で、歯車状のパーツと、それに噛むように付けられた薄い木片(舌)、あとはそれらを固定するための枠組みだの取っ手だので構成されています。

そして本体を回すと舌と歯車が回転しながら触れあい、都度弾き合うことで「カチカチカチ」といった音が生じる仕組みです。

日本では歌舞伎の効果音としても使われており、柱時計のネジ巻きの音に似ていることから「時計」と呼ばれているそうです。

鈴に関しては、名目上「熊よけの鈴」として売られていたものを選択しました。

中ぶりの鈴が幾つか連なっており、振るとガラガラと鳴ります。

元から楽器として使えそうだなと思って買ったのですが、定演直前、札幌市内で熊出没のニュースが頻繁に流れるようになったころ、映像内で小学生たちがランドセルに全く同じものを付けておりました。

演奏にも使えるし、熊は追い払えるしで、コスパとしては大変宜しいです。

トイピアノはクレラというブランドのものを採用しました。

カワイのトイピアノも所持しており、そちらの方が音域は広いのですが、クレラは音に特徴があります。

「コゥン」というか「クン」というか。

文字で表しにくい大変甘ったるい音色をしており、生の楽器から出ているようにも思えない、機械で加工したかのような音が鳴ります。

それでいてまあまあ音量もあり、使いでがあるなと。

 

見た目もアップライトピアノの模型というにはなかなかどっしりとしており、堅実なつくりになっています。

舞台シモテの空きスペースにて、ご自由にお構いくださいという形で置いていたところ、フォトスポットとして昇華しておりました。

楽器にも観光名所にもなるのだから、コスパの良い物体でございます。

ところで余談なのですが、私は譜面の制作にカワイの「スコアメーカー」を使っています。

スコアメーカーにはプリセットで様々な音色があり、その中にトイピアノもあるのですが、なぜかその音がクレラ寄りなんですよね。

自社のトイピアノの音じゃないのかと。

何となく納得のいっていないところです。

 

(あまやん/打楽器)