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団員私物楽器紹介のコーナー その10

タシャなのか? ナガラなのか?

 

民族楽器を買う趣味があり、コレクターと名乗るような規模では全くないのですが、そこそこに自室の棚を占有しています。

集めて飾るだけでは当然本来の用途ではないため、時折プレパの定演や他のライブ活動で使用しているのですが、その中で呼び名に困っている楽器がございます。

こちらです。

手前の小ぶりな1点が、20年も前に小樽の雑貨屋で買ったもの。

奥に並べた2つは、定演の2週間ほど前にハードオフで購入した1組のものです。

 

前者は商品名がついておらず、バチなどの付属品もなし。

後者は「ナガラ」として、写真にもある通り、不揃いな2本の太めのバチが付いておりました。

 

さて。

見た目はおんなじでございますから、じゃあ手前のピンの太鼓もナガラなんだろうと思うのですが、ナガラというのは概ね大小2つ1組で演奏されるものなのです。

もう少々詳しく調べますと、起源は中東にあり、5~6世紀ころのペルシャの浮彫細工に見られ、13~14世紀時点でヨーロッパやインドに広まったそうです。

つくりや材質は時代や場所でばらつきますが、お椀型というのは大体共通しているようで。

その後15世紀から19世紀にかけて、この楽器はティンパニへと派生していきます。

 

ともかく、じゃあ小樽で買ったのはそれが1つはぐれたものなんじゃないのか。

数が1個か2個か程度の根拠であれば、そいつがナガラではないと言えたものではなかろうよ。

 

としたいところなのですが、そこで困ったのが「タシャ」という楽器の存在です。

 

ちょっと「タシャ 楽器」「ナガラ 楽器」でそれぞれ画像検索してみてください。

ほとんど同じものが出てきますから。

 

タシャというものも起源を追ってみるとペルシャに行きつきます。

その後インドに普及したというのも同じ。

ただ奏法に違いがあり、個数の言及はされておらず、ただ「2本の細い木のバチで叩く」とされている。

 

買った当時にバチは付属していなかったので、そこでの見分けはつきません。

2個組ではございませんが、もしかすると雑貨屋がいい加減にバラで売った可能性もゼロではない。

しかし見た目は、現状「タシャ」とされているものに酷似している。

が、それを言ってしまうとそれと「ナガラ」の小さい方もほとんど同じでは?

 

インド楽器の演奏をされている方から意見をいただいたりもしたのですが、結局見た目でハッキリと判別できるものではないらしく、どう演じられているかで判断するのが第一なようではございます。

 

というわけで、小樽で買ったのは「バチのないタシャ」で、ハードオフで買ったのは「ナガラ」なのでしょう。

 

すっきりしたところで第3回定期演奏会に臨んでいきます。

この楽器を使うのはおなじみ、第一部の演目『天誅』です。

特に音の高低差を要していないのでモノとしては1つあればよく、パート譜にも「Tasha」として記載しておりましたが、念のため件の3つを打楽器担当のもっちに見せ、どれで叩きたいか聞いてみました。

 

「大きいやつがいいですねぇ」

 

結果、本番では「ナガラ」の大きい方を単体で用い、「タシャ」と書いたパート譜が演奏されたのでした。

この場合、何?

 

(あまやん/打楽器)